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その他潤滑油 2024.08.22(Thu)

ローラーチェーンの潤滑方法5選|高温・摩耗環境におすすめの潤滑油を解説

ローラーチェーンの潤滑方法5選|高温・摩耗環境におすすめの潤滑油を解説

ローラーチェーンは、ピンやブッシュなどから構成される機械要素であり、産業機械や自動車など幅広い分野に使用されています。

 

ローラーチェーンの潤滑は機械の動作を円滑にし、摩耗や損傷を防ぐうえで非常に重要なメンテナンス作業です。

 

この記事では、ローラーチェーンの潤滑方法と、高温環境や摩耗環境といった状況別におすすめの潤滑油を紹介します。

 

ローラーチェーンの潤滑方法や、自社の用途や環境に適した潤滑油の選び方を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

ローラーチェーンにおける潤滑の重要性


ローラーチェーンの動作を円滑にし、動作部の摩耗や損傷を防ぐためには適切な潤滑が必要です。

 

潤滑油はローラーとブッシュの間に入り込み、両者の接触面に薄い油膜を形成します。

 

油膜によって、金属同士の直接的な接触が防げるため、摩擦抵抗や発熱を低減できるのです。

 

また、潤滑油の油膜は、外部からのゴミやチリの侵入を防ぐ効果もあります。

 

したがって、自社機械におけるチェーンの寿命を伸ばし、運転効率を維持するために、潤滑は必要不可欠なメンテナンスといえるでしょう。

 

【関連記事】チェーンオイルの必要性とは?おもな役割と代表的な種類・特徴を解説

 

潤滑・給油が必要な箇所

ローラーチェーンへの潤滑・給油では、ローラーとブッシュの隙間や両端の端ブッシュ付近に直接注油します。

 

潤滑・給油の目的は、チェーンの動作によって発生する摩耗や発熱を抑えることなので、摩擦が多い箇所に行うのが基本です。

 

適切な潤滑を行わないと、摩耗や損傷が進み、機械の故障につながるリスクが高まります。

 

特に、高負荷や高速回転している部分は潤滑不足になりやすいため、こまめな注油が必要です。

 

また、チェーンの内部まで潤滑剤を行き渡かせる必要があるため、細部に浸透しやすいオイル状の製品を使用する傾向があります。

 

ローラーチェーンの潤滑方法5選


ローラーチェーンの潤滑には、おもに以下の5つの方法があります。

 

  1. ハケや油差しでの潤滑法
  2. 滴下給油法
  3. 油浴潤滑法
  4. 円盤潤滑法
  5. 強制給油法

 

ここからは、各潤滑方法の特徴を解説します。

 

方法①:ハケや油差しでの潤滑法

ハケや油差しでの潤滑法では、作業者がチェーンの動きに合わせてハケで油を塗り、必要な部分を潤滑します。

 

メリットは特別な装置を必要とせず、低コストで手軽に実践できる点です。

 

一方で定期的な手作業が必要となるため、メンテナンスの手間や人的な負担は増加します。

 

また、回転速度が速すぎるチェーンなど、安全面から手作業が難しい場合にも不向きです。

 

したがって、ハケや油差しでの潤滑法は、比較的小型の機械や使用頻度がそれほど高くない設備に適した方法といえるでしょう。

 

方法②:滴下給油法

滴下給油法は、潤滑油を容器から直接、機械部品に滴下させる方法です。

 

具体的にはチェーンにオイルカップを付けて、プレートの隙間に潤滑油を滴下します。

 

滴下給油法は、ほかの方法よりも比較的手順がシンプルなので、設備のメンテナンスが容易です。

 

そのため、連続的な潤滑が必要な場合や、特定の部位に正確に油を供給する場合に適しています。

 

また、潤滑油の消費量を抑えられる点も滴下給油法のメリットです。

 

潤滑油の供給量を細かく調整しやすいため、チェーンやギアなど、定期的な潤滑が求められる機械部品に有効な方法といえるでしょう。

 

方法③:油浴潤滑法

油浴潤滑法は、オイルたまりにチェーンを通し、プレートの隙間に浸透させる方法です。

 

油浴潤滑法では、オイルレベルを調整する必要があります。

 

具体的には、オイルレベルを下部スプロケットの歯の先端から約12mmの高さで保持するように推奨されています。

 

油面を理想的な高さよりも高く設定しすぎると、機械の動作中に油が激しくかき混ぜられるため、注意が必要です。

 

また、オイルレベルが高すぎると、油の温度が上昇し油質が悪化する可能性があります。

 

油質が悪化すると潤滑性能が低下し、ドライブ部品の摩耗や損傷のリスクが高まります。

 

オイルレベルの管理だけでなく、オイルたまりに異物が混入しないよう細心の注意が必要です。

 

方法④:円盤潤滑法

円盤潤滑法は、下部スプロケットに円盤を装着し、自動でチェーンに油を供給する方法です。

 

円盤潤滑法では、円盤が油中約12mmの深さに浸かり、回転することで遠心力を利用し、潤滑油をチェーンへ滴下します。

 

なお、チェーンの幅が125mmを超える場合には、効率的な潤滑のために円盤を両側に設置しましょう。

 

方法⑤:強制給油法

強制給油法は、チェーンの緩んでいる側にオイルを噴射する方法です。

 

ポンプを使ってオイルたまりから潤滑油を吸入して、噴射します。

 

強制給油法は、高速運転や重い負荷がかかる箇所、油浴や円盤潤滑が適用できない場合に向いている方法です。

 

一般的には、毎分3Lの清潔な油を供給できる専用のポンプを使用することが推奨されます。

 

なお、油槽の容量については、15Lから45Lが適切です。

 

また、ローラーチェーンが複数並ぶ「多列ローラーチェーン」の場合は、噴霧管の給油穴をチェーン列数+1個設けましょう。

 

【状況別】ローラーチェーンの潤滑方法


潤滑箇所の状況別に、適切なローラーチェーンの潤滑方法を解説します。

 

ローラーチェーンの性能を維持し、機械の寿命を長く保つためにも、用途や環境に適した潤滑方法を選びましょう。

 

高温下での潤滑方法

高温環境下では、以下のような潤滑トラブルが発生するリスクがあります。

 

  • 油の粘度低下
  • 蒸発や酸化による摩耗や焼付き
  • スラッジの蓄積による潤滑障害

 

そのため、高温での潤滑には、粘度が変化しやすいグリースよりも冷却効果の高い潤滑油が適しています。

 

また、潤滑油の冷却性能を高め、スラッジの発生やオイル流出を低減するには1回の給油量を減らし、給油回数を増やすのも効果的です。

 

なお、200℃を超える高温において、鉱物油ベースのオイルは劣化・蒸発やスラッジの発生といった問題が起こりやすいため、酸化や劣化に強い合成油が適します。

 

300℃を超えるような高温では、グラファイトや二硫化モリブデンなどの固体潤滑材もチェーンの摩耗防止に効果を発揮するでしょう。

 

【関連記事】潤滑剤はどのくらいの高温まで耐えられる?耐熱製品の選び方6選

 

オイルの飛散や垂れが気になる場合の潤滑方法

オイルの飛散や垂れが気になる場合は、付着性が高いグリースを使用するのがおすすめです。

 

おもに以下のような状況下では、グリースを使用する傾向があります。

 

  • 機械式駐車装置
  • 印刷機械
  • 搬送機械
  • 屋外設置チェーン など

 

上記のような環境では、潤滑剤が製品の品質に影響を与える恐れがあるため、飛散や垂れを防げるグリースの使用が適しています。

 

ただし、付着性の高いグリースは、細部への浸透性に課題があるため、溶剤等で希釈した製品を使用する場合もあるようです。

 

【関連記事】グリースとは?潤滑油との違いや求められる5つの性能、種類を徹底解説

 

ローラーチェーンにおすすめの潤滑油


ローラーチェーンにおすすめの潤滑油を、以下の3つの観点から紹介します。

 

  1. 基本的な潤滑油の選び方
  2. 高温環境におすすめの潤滑油
  3. 摩耗環境におすすめの潤滑油

 

自社機械における潤滑環境と照らし合わせながら、最適な潤滑油を選ぶための参考としてご活用ください。

 

基本的な潤滑油の選び方

ローラーチェーンの潤滑油を選ぶ際は、以下の3点に着目しましょう。

 

  1. 周辺温度
  2. チェーンの回転数
  3. 使用用途

 

機械が置かれている環境や潤滑箇所の温度は、オイルの粘度や性質に大きな影響を及ぼします。

 

したがって、使用可能温度を把握したうえで、自社の環境に適した粘度指数を持つ潤滑剤を選ぶことが大切です。

 

また、チェーンの速度や回転数も潤滑剤選びにおいて重要な要素といえます。

 

たとえば、高速で動作するチェーンには摩擦熱の発生を抑え、潤滑性を長時間維持できる耐摩耗性や耐熱性の高い潤滑剤が必要です。

 

ほかにも、チェーンの使用用途も考慮しましょう。

 

具体的には食品工場ならば、製品や原材料に直接接触する可能性があるため、安全性が確保された潤滑剤を使用しなければなりません。

 

機械の動作状況や置かれている環境によって、最適な潤滑剤は異なるため、自社が求める潤滑条件を正しく把握することが重要です。

 

【関連記事】潤滑油の正しい使い方とは?最適なオイルの選び方や給油方法について解説

 

高温環境におすすめの潤滑油

高温下でのローラーチェーンには、高い耐熱性を持つ潤滑油を選びましょう。

 

具体的には、合成油ベースの潤滑油がおすすめです。

 

合成油は、鉱物油に比べて高温での酸化安定性や揮発性が低いため、潤滑性能が長時間維持できます。

 

また、チェーン内部への浸透性が高いため、ピンとブッシュ間の潤滑にも効果的です。

 

高温での使用では、定期的な潤滑油の補充と使用環境に応じた潤滑間隔の設定が重要になります。

 

製品選びだけでなく、適切な頻度の注油によって、チェーンの過度な摩耗や早期劣化を防ぎ、安定した性能を維持しましょう。

 

なお、JAX JAPANでは耐熱性が高く、スラッジレスを実現できるチェーン油を取り扱っています。

 

高温下でも潤滑性能を発揮できる高品質なチェーン油をお探しの方は、ぜひ以下の製品ページをご確認ください。

 

>>「H1チェーン油」の詳細を確認する<<

 

>>「H2チェーン油」の詳細を確認する<<

 

摩耗環境におすすめの潤滑油

摩耗環境のローラーチェーンには、耐荷重添加剤が添加されている潤滑油を使用しましょう。

 

耐荷重添加剤とは、潤滑油の耐荷重性能と潤滑性能を向上させるための添加剤です。

 

油膜の耐久性を上げたり、保護膜を形成したりすることで、激しい摩擦が発生する環境でも、潤滑性能を保ちやすくなります。

 

また、潤滑油が激しく攪拌される摩耗環境では、空気との接点が増えやすく、酸化や泡立ちも発生しやすいです。

 

そのため、酸化防止剤や消泡剤といった添加剤が含まれている潤滑油を選ぶのもよいでしょう。

 

【関連記事】潤滑油添加剤とは?9つの種類別に特徴や成分、用途・役割を徹底解説

 

自社機械のローラーチェーンを守る高品質な潤滑油をお探しなら


ローラーチェーンを正常に動作させたり寿命を延ばしたりするには、それぞれの状況に適する潤滑油が欠かせません。

 

自社の潤滑環境を正しく把握したうえで、適切な性能を持った潤滑油を選定しましょう。

 

なお、品質と安全性を両立した潤滑油をお探しの方は、JAX JAPANのH1チェーン油をご検討ください。

 

H1規格の潤滑剤は、公衆衛生・環境に関する事業を行う第三者機関「NSF」が定める基準を満たしているのが特徴です。

 

「FDA(アメリカ食品医薬品局)」から認定された安全性の高い原材料のみを使用しており、製品へのオイル混入のリスクも最小限に抑えられます。

 

用途や環境に応じて、豊富なラインナップを取り揃えているため、自社の食品工場に最適な高性能な潤滑油をお探しの方は、お気軽にJAX JAPANまでご相談ください。

 

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