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高温環境での潤滑油対策 2025.01.09(Thu)

ドライフィルム潤滑とは?オイル潤滑との違いや固体潤滑剤の種類を解説

ドライフィルム潤滑とは?オイル潤滑との違いや固体潤滑剤の種類を解説

一口に潤滑といっても、使用する潤滑剤や注油の仕方によって、さまざまな種類の潤滑方法が存在します。
なかでも、高温下や高負荷がかかる環境など、オイルやグリースでは対応できない過酷な潤滑条件に適した手法が「ドライフィルム潤滑」です。

 

この記事では、オイル潤滑の具体的な違いや特徴、使用される固体潤滑剤の種類など、ドライフィルム潤滑の詳細を解説します。
おすすめ製品として、高い耐熱性と耐荷重性を備える高性能ドライフィルム潤滑剤も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

ドライフィルム潤滑とは

ドライフィルム潤滑とは

 

ドライフィルム潤滑とは、固体潤滑剤配合の潤滑剤および、潤滑方法のことです。
具体的には、以下のような成分で構成されています。

 

構成成分 概要・特徴 種類
固体潤滑剤 固形の微粒子や薄膜からなる潤滑剤 ・窒化ホウ素
・グラファイト
・二硫化モリブテン
・PTFE など
バインダー(樹脂) 摺動面に固体潤滑剤を定着させるための成分 ・エポキシ樹脂
・アクリル系樹脂
・ポリアミドイミド樹脂 など
添加剤 環境や用途に合わせた追加機能を付与 ・防錆剤
・フィラー など
基溶剤 バインダーや加工方法によって使用 ・キシレン
・酢酸エチル など

ドライフィルム潤滑剤は、バインダーと呼ばれる樹脂に窒化ホウ素やグラファイトなどの固体潤滑剤を配合しており、塗布した摺動面に乾性潤滑皮膜を形成します。

 

耐摩耗性や耐熱性が高く、オイルやグリースでは対応できない過酷な環境でも高い潤滑性能を発揮できるのが特徴です。

 

ドライフィルム潤滑とオイル潤滑の違い

ドライフィルム潤滑とオイル潤滑のおもな違いは、以下の通りです。

 

オイル潤滑 ドライフィルム潤滑
耐熱性 200〜250℃が限界点 300〜900℃
耐荷重性 中〜大
摩擦係数 小〜中(10^-2~10^-4程度) 小(10^-1~10^-2程度)
耐水性
冷却効果
すべり速度 中〜高速 低〜中速
補給しやすさ しやすい 不可
流出しやすさ しやすい なし
真空環境 蒸発が懸念される 潤滑可能

オイル潤滑では摩擦面に潤滑油を注油し、摺動部が直接的な接触を防ぎます。

液体を媒介にしているため、高い冷却効果と耐荷重性を備え、高速で運動する箇所にも使用しやすいのが特徴です。

 

一方、ドライフィルム潤滑では乾燥被膜を形成し、摺動部の直接的な摩擦を防ぎます。

 

せん断力の低い固体潤滑剤が媒介となるため熱や水分、摩擦に強く、一度塗布すれば長期間の使用が可能です。
また、固体潤滑剤の種類によって、高い耐荷重性を有することもできるうえに、液漏れのリスクもありません。

 

ただし、冷却効果は低く、高速で動作する摺動部の潤滑には向かないため、潤滑条件によってオイル潤滑と使い分けるとよいでしょう。

 

【関連記事】潤滑剤の種類とは?液体・半固体・固体の種類別に特徴と用途を解説

 

ドライフィルム潤滑の特徴

ドライフィルム潤滑の特徴

 

ドライフィルム潤滑には、以下のような特徴があります。

 

  1. 耐熱性が高い
  2. 耐荷重性が高い
  3. オイル潤滑が難しい環境・素材にも適用可能

 

ここでは、ドライフィルム潤滑の3つの特徴を詳しく解説します。

 

特徴①:耐熱性が高い

ドライフィルム潤滑の大きな特徴といえるのが、耐熱性の高さです。

 

ドライフィルムには、耐熱性の高い固体潤滑剤が配合されているため、潤滑剤全体の耐熱性能が大幅に向上しています。

 

一般的な潤滑油の使用可能温度が最高200〜250℃程度であるのに対して、固体潤滑剤のなかには、900℃の超高温に耐えられるものも存在します。

 

潤滑油やグリースでは適応できない高温下において、機械潤滑が必要な場合の有効な選択肢の一つとなるでしょう。

 

なお、JAX JAPANではチェーン油やグリースなど、耐熱性に優れた各種潤滑剤を取り揃えています。

 

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【関連記事】潤滑剤はどのくらいの高温まで耐えられる?耐熱製品の選び方6選

 

特徴②:耐荷重性が高い

耐荷重性の高さも、ドライフィルム潤滑の特徴的なポイントです。

 

ドライフィルム潤滑に用いられる固体潤滑剤のなかでも、特に二流化モリブテンとグラファイトは、高い耐荷重性を有しています。
弱いファンデルワールス結合による層状格子構造を形成しており、高荷重環境でも優れた潤滑性能を発揮できるのが特徴です。

 

なお、JAX JAPANでは、油圧作動油やギヤ油、耐圧グリースなど、耐荷重性が高い各種潤滑剤も提供しております。

 

強い荷重がかかる過酷な潤滑環境において、スムーズな機械動作を実現できる高性能潤滑剤をお探しの方は、以下の製品ラインナップをご確認ください。

 

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【関連記事】油圧作動油とは?おもな種類や粘度の違いを解説

 

【関連記事】ギヤ油とは?JIS規格1種と2種の違いや粘度別の種類をプロが解説

 

特徴③:オイル潤滑が難しい環境・素材にも適用可能

ドライフィルム潤滑は、オイル潤滑が難しい環境・素材に適用できる点が特徴です。
固体潤滑剤は化学的安定性に優れているものが多く、以下のような幅広い素材に適用できます。

 

  • 各種金属
  • プラスチック
  • ゴム など

 

また、乾燥被膜を形成するため、水分や気圧の影響も受けづらく、湿潤環境や真空環境の潤滑にも対応可能です。
さまざまな要件が求められる過酷な潤滑環境において、最適なソリューションになり得る潤滑剤といえるでしょう。

 

ドライフィルム潤滑に用いられる固体潤滑剤の種類

ドライフィルム潤滑に用いられる固体潤滑剤の種類

 

ドライフィルム潤滑では、おもに以下のような固体潤滑剤が用いられています。

 

  1. 窒化ホウ素
  2. グラファイト
  3. 二硫化モリブテン
  4. PTFE

 

ここからは、種類別に固体潤滑剤の特徴を解説します。

 

種類①:窒化ホウ素

窒化ホウ素は、窒素とホウ素からなる固体の化合物です。
セラミックの一種ですが、六角形に並んだ窒素とホウ素が層状に重なった黒鉛に近い結晶構造を形成しています。

 

窒化ホウ素の特徴は、900℃以上の非常に高い耐熱性を有する点です。
他の固体潤滑剤と比較しても格段に高い温度に耐えられるうえに、熱伝導率が大きく、熱の発散を妨げないという特性を持っています。

 

他にも、以下のような特徴を備えており、さまざまな潤滑環境に適用可能です。

 

  • 化学的安定性が優れ、衝撃にも強い
  • 電気絶縁性が高い
  • 機械加工がしやすい
  • 純白色で無毒 など

 

なお、JAXJAPANでは、窒化ホウ素を配合したドライフィルム潤滑剤「パイロコートFG XTL」をご提供しております。

 

パイロコートFG XTLは、使用可能温度500〜900℃という非常に高い耐熱性を備えているのが特徴です。

 

本製品をチェーンに塗布すると、250℃以上でオイルが揮発します。
その後、窒化ホウ素が乾燥被膜を形成し、摩擦を防ぐという仕組みによって、優れた潤滑性能を発揮します。

 

超高温下における機械潤滑でお困りの方は、ぜひパイロコートFG XTLの導入をご検討ください。

 

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種類②:グラファイト

グラファイトは、炭素からなる元素鉱物のことであり、以下のような特徴を備えています。

 

  • 柔軟かつ潤滑性能が高い
  • 耐熱性に優れる
  • 導電性が高い
  • 熱伝導性が高い など

 

グラファイトは、二硫化モリブデンやPTFEと比較して摩擦係数では劣りますが、高い潤滑性能を有しています。

 

また、約500℃の高温下にも耐える熱安定性を誇り、真空中では窒化ホウ素よりも高い温度下で使用できます。
導電性や熱伝導性にも優れているため、高温下の潤滑に用いられるケースが多い固体潤滑剤です。

 

種類③:二硫化モリブデン

二硫化モリブデンは、モリブデンと硫黄からなる化合物であり、以下のような特徴を備えています。

 

  • 潤滑性能が高い
  • 荷重に強い
  • 真空中でも潤滑性能を維持できる
  • 耐熱性が高い など

 

二硫化モリブデンは固体潤滑剤のなかでも、特に摩擦係数と耐荷重性に優れています。
空気中だけでなく、真空中や油脂を使用できない環境にも適用可能であり、宇宙分野で使われるケースも多い固体潤滑剤です。

 

なお、耐熱性は350℃程度と固体潤滑剤のなかでは劣るものの、高温下にも適用可能な性能を備えています。

 

種類④:PTFE

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、フッ素原子と炭素原子からなるフッ素樹脂です。
固体潤滑剤として使用する場合は、以下のような特徴を有しています。

 

  • 化学的に安定している
  • 摩擦係数が小さい
  • 耐熱性が高い
  • 耐薬品性に優れる など

 

PTFEは摩擦係数が非常に小さく、極めて潤滑性能に優れるのが特徴です。

 

約300℃の高温下でも使用できる耐熱性に加え、腐食性の強い「フッ化水素酸」でも溶解しない耐薬品性を備えています。

 

ただし、他の固体潤滑剤と比較して耐荷重性は劣るため、使用箇所が限定されやすい固体潤滑剤といえるでしょう。

 

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