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その他潤滑油 2024.04.04(Thu)

潤滑油は危険物なのか?危険性と適切な管理・取り扱いを徹底解説!

潤滑油は危険物なのか?危険性と適切な管理・取り扱いを徹底解説!

潤滑油は石油製品であり、一定の引火性を有しています。しかし、潤滑油の種類は多岐にわたり、用途が広範囲です。

 

そのため、労働安全衛生法や消防法などが、潤滑油の取り扱いや保管に関する規制を定めています。潤滑油を使用する際は、安全性を考慮して、適切な製品を選定し、法令を守る必要性があるでしょう。

 

この記事では、潤滑油の危険性と適切な管理・取り扱い方法を解説します。高温環境下でも安全に使用できる潤滑油も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

潤滑油は危険物?

 

潤滑油は一般的に石油製品であり、グリースや水を含む水溶性切削油などの半固体状潤滑剤を除くと、多くが引火性を有しています。

 

労働安全衛生法では「引火性の物」を規定していますが、引火点が65℃未満を対象としており、多くの潤滑油が対象外です。

 

一方で、消防法の規定では、危険物第四類および、可燃性液体類に分類されます。特に、潤滑油を多く使用する工場では、消防法に基づいて規定された取扱数量を守る必要があるでしょう。

 

潤滑油とは

潤滑油は、以下の作用をもたらすことで、機械の寿命を延ばす役割を果たします。

 

  • 摩擦作用
  • 冷却作用
  • 応力分散効果
  • 防錆作用
  • 密封作用
  • 洗浄作用

 

具体的には、機械部品同士の接触時に発生する熱や摩擦を抑制し、効率的に機械を動作させることで、エネルギーロスの削減にも貢献します。

 

潤滑油が危険物と言われる理由

潤滑油が危険物と見なされる理由は、その特性や取り扱いに伴うリスクに関連しています。通常、潤滑油の構成は、基油(ベースオイル)と添加剤です。

 

基油は潤滑油の主成分であり、高温や火花などにより引火しやすく、取り扱いに慎重が必要です。


また、添加剤は潤滑性能や抗酸化性、抗摩耗性、粘度などの特性を向上させるために添加されます。
添加剤は化学物質であり、爆発の危険性や急毒性など、安全面を考慮し、多くの法規制が存在します。

 

法規制を遵守し、潤滑油の適切な管理と取り扱いを行うことで、労働安全性や環境保護を確保する必要があるでしょう。

 

【関連記事】ベースオイルとは?潤滑剤に使用されるおもな種類・成分と役割を解説

 

潤滑油の危険物分類

潤滑油は、消防法の危険物第四類に分類されます。

 

種類 品名 品名に該当する物品例 指定数量
第4類

引火性液体

特殊引火物 ・ジエチルエーテル

・二硫化炭素

・アセトアルデヒド など

50L
第1石油類 非水溶性 ・ガソリン

・ベンゼン

・トルエン など

200L
水溶性 ・アセトン

・ピリジン

400L
アルコール類 ・メチルアルコール

・エチルアルコール など

400L
第2石油類 非水溶性 ・軽油

・灯油 など

1,000L
水溶性 ・酢酸

・プロピオン酸 など

2,000L
第3石油類 非水溶性 ・重油

・クレオソート油 など

2,000L
水溶性 ・エチレングリコール

・グリセリン など

4,000L
第4石油類 ・ギヤ油

・エンジン油

・シリンダー油 など

6,000L
動植物油類 ・ヤシ油

・パーム油

・オリーブ油 など

10,000L

引用元:危険物保安技術協会|2011年 第四類 引火性液体

 

また、引火点が250℃以上の潤滑油は可燃性液体類に分類され、取扱数量による届け出や、保有空き地、避雷針設置の免除などの取り扱いが緩和されます。

 

ただし、ギヤ油やシリンダー油は引火点を250℃以上有しても可燃性液体類に分類されず、第四石油類に属すので注意しましょう。

 

潤滑油の保管方法

 

潤滑管理を効果的に進めるには、システムに入る前段階から保管、供給までの過程においても、きちんと管理する必要があります。

 

質的な観点では、潤滑油の保管において水分混入に留意することが重要です。

 

水分混入を避けるためには、以下の点を意識しましょう。

 

  • ドラム缶の横置き
  • 温湿度の管理

 

具体的には、ドラム缶は口金が油面より下になるように水平に置くことで、水滴や雨水が容器にたまるリスクを減少できます。潤滑油中に水分が混入すると、濁りや内容物の加水分解、分離などが生じ、劣化の原因となります。

 

対策を講じることで、潤滑油の品質を維持し、水分による劣化を最小限に抑えられるでしょう。

 

【関連記事】潤滑油の適切な保管方法とは?3つの注意点や消防法における数量指定を解説

 

指定数量とは

指定数量とは、消防法で指定された危険物を保管できる最大量です。潤滑油が該当する第4類危険物は、引火点などに基づき8段階に指定数量が分かれています。

 

仮に、複数の第4類危険物を同時に保管する場合、単純にそれぞれの指定数量の合計まで貯蔵出来るわけではありません。各危険物の指定数量に対する割合を計算し、総計が1未満になるようにする必要があります。

 

倍数が1未満では各市町村条例(火災予防条例)、1以上では消防法の適用となります。

 

指定数量以上の潤滑油を保管する場合

危険物の貯蔵取扱い量が指定数量以上となる場合は、所轄消防長又は消防署長の承認を受ける必要があります。その際、指定数量以上の危険物は貯蔵所(移動タンク貯蔵所を含む)以外での貯蔵・取扱いは禁止されています。

 

製造所、貯蔵所、取扱所の位置、構造、設備の基準は政令で定められており、適合するように設置しなくてはいけません。設置や変更を行う場合は、市町村長等の許可を受け、技術基準に適合することを示す検査を受ける必要があります。

 

指定数量未満の潤滑油を保管する場合

指定数量の1/5未満の量を貯蔵・取扱う場合は、規制が発生せず、各自が管轄する消防署への届け出が必要ありません。

 

例えば、冬場に一般家庭で使用される灯油も、200L未満であれば少量と見なされ、消防署への届け出が不要です。

 

ただし、指定数量の1/5以上指定数量未満の場合「少量危険物」として扱われます。少量危険物は、各市町村条例(火災予防条例)により、少量危険物貯蔵取扱届出書及び関係書類を使用・保管する場所の所轄の消防署に提出し、完成検査を受けなければなりません。

 

潤滑油の運搬や取り扱いの注意点

 

潤滑油を含む全ての化学製品には、未知の危険性や有害性があるため、取り扱いには細心の注意が必要です。

 

注意点を守ることで、潤滑油の運搬や取り扱いにおいて安全性を確保し、事故や健康への影響を最小限に抑えられるでしょう。

 

【関連記事】潤滑油の正しい使い方とは?最適なオイルの選び方や給油方法について解説

 

注意点①:火気厳禁

当然ながら、潤滑油には引火性があるので火気の近くで取り扱ってはいけません。発火点が高い潤滑油ですが、火気の近くで保管・取り扱うことで、温度が上昇し、引火や発火の危険性が増します。

 

そのため、倉庫の中で無造作に保管するのではなく、潤滑油専用の保管庫を使用することで、火災の拡大を抑制できます。

 

火気やスパーク、高温物に気を付けたり、作業衣や靴なども導電性のものを用いて、静電気対策をしたりしましょう。

 

仮に火災が発生した際は、強化剤や泡、粉末または炭酸ガス消火剤を用い、棒状水を使用しないように注意が必要です。

 

注意点②:換気が良い場所で取り扱う

潤滑油は、直射日光を避け、換気の良い場所で保管・取り扱いをしましょう。特にフッ素系潤滑剤は熱分解によって有害なガスを発生する可能性があります。

 

高温(300℃以上)にさらされる場合には、換気を十分に行うか、適切な排気装置を設置することが重要です。

 

また、潤滑油に含まれる成分によっては、長期的な影響も懸念されます。そのため、潤滑油を取り扱う際には、換気を十分に行い、潤滑油の揮発成分を排出しましょう。

 

注意点③:適切な方法で廃棄する

廃棄する際は、絶対に投棄せず、関連法規および地方自治体の基準に従う必要があります。

 

潤滑油を廃棄する事業者は、以下の方法を検討しましょう。

 

  • 産業廃棄物を自ら処理する
  • 都道府県知事の許可を受けた産業廃棄物処理業者と委託契約を結ぶ
  • 地方公共団体に委託する

 

汚染容器・包装に関しては、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄業者に業務委託し、廃棄時にガスやミストの吸入や付着に注意しましょう。

 

その際、必ず中身を使い切り、中身がないことを確認してから廃棄してください。

 

高温環境下でも使用できる潤滑油をお探しの方へ

 

高温では潤滑油が蒸発しやすくなり、作業環境に潤滑油の蒸気が発生し、吸入することで呼吸器系への影響が生じる可能性があります。加えて、食品工場などで使用される場合は、潤滑性能だけでなく製品の安全性も考慮しなくてはいけません。

 

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食品機械用耐熱チェーンオイルは、第三者機関が認証した「NSF H1規格」の食品工業用潤滑油です。優れた潤滑性を提供しながら、蒸発に強く、驚異の耐熱性を誇ります。

 

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