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ブログメンテナンスグリースのちょう度とは?ちょう度番号の違いや選定の目安を解説

メンテナンス 2024.10.15(Tue)

グリースのちょう度とは?ちょう度番号の違いや選定の目安を解説

グリースのちょう度とは?ちょう度番号の違いや選定の目安を解説

ちょう度は、グリースの性能を決定する非常に重要な要素です。
自社機械に使用するグリースを選定する際にも、ちょう度を見比べたうえで、最適な硬さの製品を選ぶ必要があります。

 

しかし、ちょう度やちょう度番号の定義が分からなかったり、どのような基準でグリースを選定するべきか悩んでいたりする方も少なくないでしょう。

 

そこで本記事では、グリースのちょう度について詳しく解説します。ちょう度番号の意味やちょう度が原因で発生するおもなトラブル、適切なグリースを選定するための目安も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

グリースのちょう度とは


グリースのちょう度とは、物理的な硬さを表した数値です。

 

潤滑油の場合、動粘度によって流動性を示しますが、半個体のグリースは液体と同じ尺度で正しく評価ができません。
そのため、グリースの硬さや潤滑性能を表すための指標として、ちょう度が生まれたのです。

 

グリースのちょう度は、一般的に85〜475までの数値で表します。
ちょう度の数字が小さくなる、つまり85に近くなるほど硬く、475に近づくほど柔らかくなるのが特徴です。

 

【関連記事】グリースとは?潤滑油との違いや求められる5つの性能、種類を徹底解説

 

ちょう度の測定方法

グリースのちょう度は、以下のような手順で測定します。

 

  1. 25℃の温度において、容量が一定の混和器のつぼにグリースを入れ、ヘラなどで表面を平らにする
  2. 重量が一定の円錐をグリースの表面と接触するように高さを合わせる
  3. 円錐をグリースの中に5秒間侵入させる

 

円錐がグリースに侵入した深さを10倍した数値=ちょう度となります。
例えば、上記の測定方法によって円錐が30mm沈んだ場合、測定対象のグリースのちょう度は300です。

 

引用元:JISK2220:2013 グリース

 

グリースのちょう度番号とは

グリースのちょう度番号とは、ちょう度ごとにグリースをグループ分けした規格区分です。

 

なお、ちょう度番号には、NLGLグレードとJIS分類の2つの規格が存在します。
NLGI(アメリカ潤滑グリース協会)が定めたNLGLグレードを日本国内でも適用しているため、実質的な内容は変わりませんが、単位の表記は異なります。

 

グリースのちょう度グレード一覧表

グリースのちょう度とちょう度番号の関係性は、以下の通りです。

ちょう度(25℃) ちょう度番号(JIS分類) ちょう度番号(NLGLグレード) グリースの硬さ
445~475 000号 No.000 流動状
400〜430 00号 No.00 半流動状
355~385 0号 No.0 極めて柔らかい
310~340 1号 No.1 やや柔らかい
265~295 2号 No.2 標準的な硬さ
220~250 3号 No.3 やや硬い
175~205 4号 No.4 硬い
130~160 5号 No.5 極めて硬い
85~115 6号 No.6 極めて硬い

グリースのちょう度では数字が大きいほど、柔らかい性質を示します。
一方、ちょう度番号は数字が小さいほど柔らかく、大きいほど硬いグリースであることを表すのが特徴です。

 

グリースのちょう度が原因で発生するおもなトラブル


グリースのちょう度は、潤滑トラブルを引き起こす原因になる場合もあります。

 

ここでは、ちょう度が適正値よりも大きい場合と、小さい場合の2パターンに分けて、発生する可能性があるトラブルを解説します。

 

ちょう度が適正値より大きい場合

ちょう度が適正値より大きい場合は、以下のようなトラブルが発生しやすくなります。

 

  • オイル漏れ
  • 油膜切れ
  • 潤滑箇所以外への混入 など

 

ちょう度が大きい=グリースは柔らかい状態です。
そのため、潤滑箇所の適正値よりちょう度が大きいと、十分な油膜を形成できず機械部品を摩擦から保護し切れなかったり、潤滑面からオイルが流れ出てしまったりする可能性があります。

 

また、潤滑箇所から流れ出たグリースが別のところに入り込んだ結果、騒音や発熱といった機械トラブルに発展するケースも考えられるでしょう。

 

ちょう度が適正値より小さい場合

ちょう度が適正値より小さい場合は、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。

 

  • 駆動部分にかかる負荷や抵抗が大きくなる
  • 油分の供給が不足しやすい など

 

ちょう度が小さい=グリースは硬い状態です。
そのため、潤滑箇所の適正値よりちょう度が小さいと、機械のスムーズな動作を妨げてしまうリスクがあります。

 

その結果、駆動部分に必要以上の負荷がかかることで機械の寿命が短くなったり、無駄な電力を消費したりなど、さまざまなデメリットが発生する可能性も考えられるでしょう。

 

【使用シーン別】グリースのちょう度選定の目安


ここからは、以下の使用シーンごとに、適切なちょう度選定の目安を解説します。

 

  1. 高負荷の環境で使用する場
  2. 高速運動する箇所で使用する場合
  3. 高温下で使用する場合

 

自社の潤滑環境にとって最適な硬さ・性能のグリースを見つけるための参考にしてください。

 

シーン①:高負荷の環境で使用する場合

高負荷の環境で使用するグリースは、ちょう度が小さいものを選定するのが適切です。

 

粘度が高いグリースのほうが、厚い油膜を形成できるため、強い負荷がかかる潤滑箇所でも機械部品を摩耗から守りやすいでしょう。

 

一方、低負荷の環境であれば、ちょう度が大きく、流動性の高いグリースが適しています。
大きな負荷がかからない潤滑箇所で抵抗の大きい硬めのグリースを使用すると、スムーズな稼働を妨げてしまう可能性があります。

 

潤滑箇所にかかる負荷を考慮し、硬すぎず、柔らかすぎない適切なちょう度のグリースを選定しましょう。

 

シーン②:高速運動する箇所で使用する場合

高速運動する潤滑箇所に使用するグリースは、ちょう度が大きいものを選定しましょう。

 

高速で稼働する潤滑部位は流体の油膜を形成しやすい状態です。
そのため、柔らかいグリースでも流出することなく、摩擦箇所を保護できるでしょう。

 

一方、低速運動する潤滑箇所は、油膜を形成しづらい状態なので、ちょう度が低い硬めのグリースを使用するのが適切です。

 

シーン③:高温下で使用する場合

高温下で使用するグリースには、耐熱性が求められます。

 

グリースは熱によって、劣化や形状変化が生じやすいのが特徴です。一般的には130℃付近が半固形状態を保てる限界温度といわれており、グリースが軟化することで潤滑不良を引き起こす可能性もあります。

 

また、焦げついたベースオイルが油中の不純物と混ざり、スラッジを形成すると、潤滑箇所の摩耗や劣化が進行する原因になりかねません。

 

なお、グリースの熱耐性は「滴点」という指標で表されます。
滴点とはグリースが軟化し、流動状になる温度のことです。

 

したがって、高温下で使用するグリースを選定する際は、潤滑箇所の温度を正しく把握したうえで、適切な滴点を備える製品を選びましょう。

 

【関連記事】耐熱グリスとは?成分別におもな種類と特徴、使用可能温度を解説

 

グリース選定はちょう度以外のポイントも重要


自社機械に使用するグリースを選定する際は、潤滑環境に応じて、以下のようなちょう度以外のポイントも重視する必要があります。

 

  • 機械安定性
  • 酸化安定性
  • 極圧性、耐摩耗性
  • 防錆、腐食防止性能
  • 低温特性
  • 耐水性 など

 

例えば、湿潤環境で使用する機械の場合は、グリースへの水分混入を防ぐことが大切です。

 

グリースに水分が混入すると、成分が乳化してしまい本来の潤滑性能を失う可能性があります。
また、水分は錆や腐食など金属の劣化を引き起こす原因にもなりかねません。

 

そのため、湿潤環境では耐水性や防錆効果を備えるグリースが必要です。

 

他にも、食品製造機械に使用するグリースには、潤滑性能だけでなく、安全性も求められます。

 

製造する食品に潤滑剤が混入するリスクをゼロにするのは非常に困難です。
だからこそ万が一、消費者の口に入っても人体に悪影響のない成分の潤滑剤を使用することで、異物混入のリスクヘッジになるでしょう。

 

なお、JAX JAPANでは、幅広い用途で活用できる高い性能と安全性を兼ね備えた「H1グリース」を提供しております。
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【関連記事】H1グリスとは?NSFの規格と使用する3つのメリット、注意点を解説

 

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H1グリースは、業界最高峰である滴点316℃の耐熱性能と湿潤環境でも潤滑性能を維持できる耐水性を備える汎用性の高い潤滑剤です。
また、機械的安定性や耐荷重能力にも優れており、強い負荷がかかる過酷な環境において、機械部品の摩耗や劣化を防ぐのに役立ちます。

 

そのうえ、NSF H1規格を取得している食品機械用グリスとして、国際的に安全性を認められているため、食品工場において安全かつハイレベルな機械潤滑を実現できる製品です。

 

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